うるおい治療(湿潤療法)の治療経過レポート
2012.04.02
傷ややけどに湿潤療法(うるおい治療)を行っています。
傷ややけどを消毒せず、うるおった状態に保つ治療法のことです。
従来の消毒して乾かす治療に比べ、はるかに痛みが少なく、きれいに早く治ります。
傷からしみ出てくる浸出液には、傷を治す成分がたくさん含まれているので、
うるおった状態を保っていれば傷は自然に治ってきます。
逆に乾燥状態では、人の細胞は死滅します。さらに消毒薬で消毒すると、
細菌とともに人の細胞も破壊されてしまいます。消毒すると痛いのがその証拠です。
当院では滅菌水で洗浄した後、専用の創傷被覆材を使用して湿潤治療を行っています。消毒薬は一切使用していません。
ご家庭で行う場合は、まず水道水で汚れや血液を洗い流し、その後食品用ラップや市販の湿潤治療用の被覆材を貼ります。
日本の水道水はとてもきれいなので、安心して傷にも使用できます。
交換回数は傷の状態によりますが、始めの頃は1日1回は交換した方が良いでしょう。
どの程度の湿潤状態にするかが、この治療のポイントです。
擦り傷の治療ケース
大きなすり傷です。創傷被覆材で湿潤治療を行いました。
4日後の状態です。すでに皮膚が出来てきています。
11日後です。治癒しています。湿潤治療ならかさぶたができません。
お子さまの火傷治療ケース
やけどの子供さんです。
自分で湿潤治療を行っておられましたが、周りの皮膚が荒れてきたとのことで
3日後に来院されました。
引き続き湿潤治療を行いました。被覆材を貼る範囲をなるべく小さくして対処しました。
処置中まったく痛がりませんでした。
4日後です。ほとんど治っています。
別の件で半年後に来院されました。
わずかに色がわかる程度で、非常にきれいに治っています。
他の治療法から変更されたケース
数日間他のクリニックでイソジンとソフラチュールで処置を受けていましたが、
交換時の痛みが強いので当院を来院されました。
ソフラチュールがこびりついています。
剝がす時は強く痛みます。
すぐに湿潤療法に切り替えました。
2日後です。
すでにかなり皮膚ができています。
交換時の痛みはまったくありません。
6日後です。
完全に皮膚ができて治癒しました。
湿潤治療を行えば、かさぶたができずに皮膚ができます。
その様子を見て感動される患者様もいらっしゃいます。
傷ややけどには、湿潤治療がお勧めです。